タグ企画小話 01
※タグの流れはどうしても構成が難しかったのでご指定内容を優先してみました......。
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アークスシップ8番目の艦船。通称「ウィン」。
アークスたちの居住区として開放されている区画の一室。
「思った以上の出来だよ。有難う」
手にしたアギトをそっと撫で、黒曜は眼前の女性に礼を述べる。
「お気に召して頂けて光栄ですわ。わざわざソーンからお越しになっていると伺った時はびっくりしてしまいましたが」
漆黒を基調とした衣服に、朝焼けの色に似た髪がよく映える女性はくすりと笑う。
「異国の空気というと妙かも知れないが普段いる船とはまた違う空気があるのが楽しくてね。それにこういう出会いがあるのも面白いのでね」
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他船の様子も見てみたい、と黒曜は各船を転々と渡り歩いていたが、アークスとしての仕事を重ねている内に武器に少しずつ役不足を感じていた。
アークスシップ間を移動する際、持ち込むことが出来る荷物には制約がある。旅先で新しい装備を新調するのも一つの選択だと思ったが、これまで供にクエストをこなしてきた武器の処遇を考えた結果......手放すのも心苦しく感じた。
それならばと思い至ったのがクラフト。しかしながら、生憎自分自身はクラフトする設備は持ち込んでおらず、この船を拠点にしているアークスに依頼をしてみようと思い至った。
ビジフォンからクラフトを受注しているアークスを検索する。
クラフトと一口に言っても実に多彩な分野があるらしく、各々対応できる分野をいくつか提示している中から条件に合致した相手に依頼する仕組みだ。
検索して目に留まったのが、このクラフター、ミラのものだった。
依頼請負の旨を記載した看板は誠実な人柄を感じさせた。
依頼をしようとマイルームへ訪問する。
「失礼します」
「......あら? お客様?」
クラフト用の操作パネルと向き合っていた彼女は黒曜に目を向ける。
「在室だったか。突然失礼して済まない、武器のクラフトを頼みたくて来たんだが......」
手にしているアギトを見せる。ニコリと彼女は微笑み、
「ようこそ、喜んで承りますわ。あと少しでこちらの作業が終わりますから、少しお待ちいただいて宜しいかしら?」
手近な席を勧め、彼女は端末に視線を戻す。黒曜は頷き椅子に腰かけた。
それからほどなく、手持ちの依頼を完了したらしきミラは黒曜からアギトと資材を受け取り、機械にセットする。
設定に誤りがないか確認し、クラフト用端末のコンソールを手際よく叩く。
武器を精錬する機械が微かな機械音を立て始め、数十分。
「完成しましたわ」
機械から取り出したアギトを黒曜に手渡す。外観はこれまでと何ら変わらない。
そっと鞘から抜いてみる。その身に帯びる気配は今まで以上に手に馴染む感じがした。
「とても良い武器ですね。とても磨きやすかった」
確かに、手にした時の感触は以前より軽く感じられた。
「有難う、早速試しに使ってみることにするよ」
アギトを鞘に納め、黒曜は頷く。じっとその様子を眺めていたミラはふと口を開く。
「宜しかったら、私も同席させて頂けませんか?」
「ん?」
「あまりにも上手くいったきがしたものですから......。自分の仕事の成果がどうだったか一度自分の目で見てみたいのです」
確かに、普段は端末越しの手続きで完結する作業。依頼で請け負ったものの成果を目にする機会は少ないのかもしれない。
「構わないよ。これも何かの縁だ」
黒曜はこくりと頷いた。
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